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親が施設に入ったあとの家、どうしたらいいか

施設へのご入居が決まった。ほっとしたのも束の間、空いた実家のことが気になりはじめる。売らないといけないのか、費用はどうするのか、親はもう自分で決められないのではないか。そんな時のページです。先にお伝えしたいのは、家のことは、ご入居が落ち着いてからで構わないということです。

  1. 最初に知っておきたいこと
  2. 急がなくていいこと
  3. 施設の費用と、家のこと
  4. 親が自分で決めることが難しい時
  5. 期限や決まりのあること
  6. ご相談の入口
窓辺で湯のみのお茶を飲む女性

最初に知っておきたいこと

ご入居が決まった時に先に来るのは、ご本人の体のこと、新しい暮らしに慣れること、毎月の費用のことです。家のことは、その後でいいのです。

もう一つ、はじめに押さえておきたいことがあります。その家は、親御さんの家だということです。名義が親御さんである限り、売る・貸すといった大きなことを決めるのは、ご本人です。お子さんであっても、代わりに決めて契約することは、そのままではできません。このことは、後の「親が自分で決めることが難しい時」で詳しく書きます。

いま、ご家族にできることは、家を「持ちこたえさせる」ことです。郵便物が届く先を変える。火災保険が、人が住んでいない家でも効くか確かめる。水道の元栓を閉め、月に一度でも風を通す。権利証や固定資産税の通知書など、大事な書類の場所を確かめる。どれも、家をどうするかを決める前にできることです。

急がなくていいこと

売るのか、貸すのか、置いておくのか。この結論は急がなくていいことです。家の中の物を全部片付けることも、まだ先で構いません。

施設に入ったばかりの頃は、ご本人が「家に帰りたい」とおっしゃることも少なくありません。家が残っていることが、ご本人の安心になっている場合もあります。慣れるまでの数か月は、家のことを急いで動かさないほうがよい、という考え方もあります。

費用の面でも、まず「毎月いくらかかり、年金や貯えでどこまでまかなえるか」の見通しを立ててから考えると、家をどうするかが見えてきます。見通しを立てる前に家の話を進めると、順番が逆になってしまいます。

施設の費用と、家のこと

施設の費用に家を充てたい、というお話はよく伺います。選べる道は、おおまかに三つです。

  • 置いておく ご本人の気持ちが落ち着くまで待てます。その間、固定資産税や保険、見に行く手間と、少しずつ傷むことは受け止めることになります。
  • 貸す 家が使われ、毎月の収入になります。貸す前の片付けと修繕が要り、貸している間は持ち主としての責任が続きます。
  • 売る まとまったお金になり、管理の負担が終わります。片付けと、ご本人の意思の確認、名義や手続きの準備に時間がかかります。

当協会は、この三つを並べて、それぞれを選ぶと何が起きるか、どのくらい時間がかかるかを分かる言葉でお伝えします。家の値段についての意見は申し上げません。値段の目安が要る時は、不動産会社(宅地建物取引業者)から説明を受けていただく形になります(どの会社をご案内しているかは、協会についてのページに)。

毎月の費用の見通しは、施設の相談員やケアマネジャーの方が詳しいところです。すでにお付き合いのある方がいらっしゃれば、その方と一緒に考えるのがいちばん早い道です。当協会は、そこで出てきた「家のこと」の部分を一緒に整理します。

親が自分で決めることが難しい時

家を売ったり貸したりする契約は、持ち主であるご本人がします。ご本人の判断する力が弱くなっていると、ご家族が代わりに契約することは、そのままではできないのが原則です。「親の家なのに、子どもが売れない」と戸惑われる方が多いところです。

この時に関わるのが、成年後見という制度です。判断することが難しくなった方のために、家庭裁判所が「後見人」という代わりに決める人を選びます。後見人はご家族がなることも、司法書士や弁護士などの専門家がなることもあります。

後見人が選ばれても、ご本人が住んでいた家を売る・貸すには、家庭裁判所の許可が別に要ります(民法859条の3)。ご本人の住まいを守るための決まりで、許可には時間がかかります。施設の費用のために急いで売りたい、という事情があっても、この順番は飛ばせません。

ご本人がまだご自分で決められるうちなら、先に備えておく方法もあります。信頼する人に将来の手続きを任せておく任意後見という契約などです。どの方法が合うかはご本人の状態と家族の形によりますので、司法書士などの専門家のお仕事になります。

当協会は、後見の申立てや、どの制度を使うかの判断はしません。ご本人やご家族がお付き合いのある専門家にお願いし、いらっしゃらない場合にご案内します。当協会がするのは、ご本人とご家族のお気持ちを伺い、「家がいまどういう状態で、何が決まっていて、何が決まっていないか」を整理して、専門家に相談しやすい形にするところまでです。

期限や決まりのあること

親御さんがご健在で施設にいらっしゃる間は、名義を移す手続き(相続登記)の期限はまだ始まっていません。相続は、ご本人が亡くなった時に始まるものだからです。

ただ、知っておくと落ち着いて考えられることが二つあります。

一つは、空き家が傷んで危ない状態になりそうな時、市区町村から指導や勧告を受けることがあり、勧告を受けると固定資産税が軽くなる仕組みの対象から外れることです。屋根や雨どい、庭木など、壊れそうなところを放っておかなければ、そこまでいくことはまずありません。

もう一つは、将来、親御さんが亡くなった後にその家を売る場合、親御さんが老人ホームなどに入っていたケースでも、一定の条件で税金の特例が使えることがあることです。いまの法律では、2027年12月31日までに売ることが条件の一つになっています。使えるかどうかは税理士の先生か税務署に確かめていただく形になります。どちらも、空き家になった実家のページに少し詳しく書きました。

ご相談の入口

お電話では、ご本人のいまのご様子、家がどこにあってどんな状態か、名義は誰か、ご家族はどうお考えか、といったことを伺います。分からないところは「分からない」で構いません。資料の準備もいりません。

ご入居の段取りが先です。家のことで当協会からご本人やご家族を急かすことはしません。売ることを勧める場でもありません。

まずは、いまの状況をお聞かせください。

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