空き家になった実家を、どうしたらいいか
親御さんが施設に移ったり、亡くなったりして、実家が空いたままになっている。片付けは進まないし、遠くに住んでいて見に行くのも大変。売るのか、貸すのか、置いておくのか。考えはじめると、どこから手をつければいいか分からなくなります。先にお伝えしたいのは、急いで結論を出す必要はないということです。
最初に知っておきたいこと
空き家は、持っているだけで少しずつお金と手間がかかります。固定資産税、火災保険、電気や水道の基本料金、庭木の手入れ、郵便物の確認。人が住まない家は、風を通さないと傷みも早くなります。
その一方で、今日明日に決めなければいけないことは、ほとんどありません。いちばん大事なのは、「すぐにやる小さなこと」「期限のあること」「ゆっくり決めていいこと」を分けることです。
すぐにやる小さなことは、たとえばこんなことです。郵便物が届く先を変える。火災保険が空き家でも効くか、保険会社に確かめる。水道の元栓を閉め、月に一度でも風を通す人を決める。鍵と、権利証や固定資産税の通知書など大事な書類がどこにあるかを確かめる。
急がなくていいこと
売るのか、貸すのか、置いておくのか。これは急がなくていいことです。家の中の物を全部片付けることも、不動産会社に連絡することも、まだ先で構いません。
思い出のある家を、すぐに手放す気持ちになれないのは自然なことです。ご家族の間で気持ちが揃っていないなら、揃うまで待つのも一つの選び方です。「今は決めない」も、ひとつの結論です。
ただ、「決めない」と「何もしない」は別のことです。上に書いた小さなことだけは先に済ませておくと、気持ちが少し楽になります。
期限や決まりのあること
数は多くありませんが、日付の決まっていることがいくつかあります。知っておくと、慌てずに順番を決められます。
名義を移す手続き(相続登記)
親御さんが亡くなって家を受け継いだ場合、名義を受け継いだ方に移す手続き(相続登記)が、2024年4月1日から義務になりました。家を相続したことを知った日から3年以内に申請することになっています。2024年4月1日より前に相続した家で、名義がそのままになっているものも対象で、その場合の期限は2027年3月31日です(相続したことを知ったのが2024年4月1日より後なら、知った日から3年以内)。正当な理由がないのに申請しないと、10万円以下の過料(罰金に似た、お金を納める処分)の対象になることがあります。ご兄弟で話がまとまっていない時のための手続きもあります。詳しくは名義が親のままになっている家のページに書きました。
固定資産税が軽くなる仕組みと、傷んだ空き家
家が建っている土地は、固定資産税が軽くなる仕組み(住宅用地の特例)があります。空き家であっても、家が建っている間はこの仕組みが効いています。
2023年12月13日に空き家についての法律が改正され、屋根や壁の傷みが進んでそのままでは危ない状態になりそうな空き家を、市区町村が「管理不全空家」として指導し、改善されなければ勧告できるようになりました。勧告を受けると、その土地はこの軽くなる仕組みの対象から外れます。
急にそうなるわけではありません。まず指導があり、それでも直らない時に勧告です。屋根や雨どい、庭木など、壊れそうなところを放っておかなければ、そこまでいくことはまずありません。「どこを見ておけばいいか」の目安として知っておいてください。
売る時に使える税金の特例(期限あり)
亡くなった親御さんが一人で住んでいた家を相続して売る場合、条件が合えば、売ったときの税金の計算で最高3,000万円まで差し引ける特例があります。いまの法律では、2027年12月31日までに売ることが条件の一つです。
主な条件は、1981年5月31日以前に建てられた家であること、マンションのような区分所有の建物でないこと、亡くなる直前にその方以外に住んでいた人がいなかったこと、相続した日から3年を過ぎる日の年の12月31日までに売ること、売った代金が1億円以下であること、売る時までに耐震の基準に合うよう直すか取り壊すこと(2024年1月1日以後に売る場合は、売った年の翌年2月15日までに買った人が直すか取り壊すことでも構いません)、などです。親御さんが老人ホームなどに入っていた場合も、一定の条件で対象になります。相続した人が3人以上なら、差し引ける額は2,000万円までです。
使えるかどうかは、お付き合いのある税理士の先生か税務署に確かめていただく形になります。当協会は、この特例が使えるかどうかの判断や、税金の計算はしません。
片付けはどこから
長く住んだ家の物を全部片付けようとすると、たいてい途中で止まります。順番を決めると進みやすくなります。
最初は、書類と貴重品だけです。権利証、通帳、保険の証券、年金の書類、固定資産税の通知書。これだけ先に一か所に集めておくと、あとの手続きが楽になります。次に、写真や手紙など、捨てられない物は「保留の箱」を作って入れておきます。決めるのは後でいいのです。家具や家電など大きな物は、最後に、業者に頼むかどうかを考えます。
片付けや遺品の整理は、それを専門にしている会社があります。お付き合いのある会社がなければご案内します。費用は、お願いする前にその会社から説明があります。「全部片付けてからでないと相談できない」ということはありません。物が残ったままの状態でも、お話は始められます。
売る・貸す・置いておく
どの道を選んでも、良い面と気になる面があります。
- 置いておく 気持ちの整理がつくまで待てます。その間、税金や保険、見に行く手間と、傷みが進むことは受け止めることになります。
- 貸す 家が人の手で使われ、収入にもなります。貸す前の修繕や片付けが要り、貸している間は持ち主としての責任が続きます。
- 売る 手間とお金の負担が終わります。片付けと名義の手続きが先に要り、思い出の家を手放す気持ちの整理も必要です。
当協会は、この三つを並べて、それぞれを選ぶと何が起きるかを分かる言葉でお伝えします。どれを選ぶかは、ご本人とご家族が決めることです。
当協会は、家の値段についての意見は申し上げませんし、売買や賃貸の仲介もしません。売る・貸すを考える段階になったら、値段の目安やお手続きは、不動産会社(宅地建物取引業者)から説明を受けていただく形になります。当協会がご案内している株式会社ユーエスハウジングには、住所を入れずに試せる「おうち健診」(同社のホームページが開きます)もあります。ほかの会社にお願いしていただいても構いません。
ご相談の入口
お電話では、家がどこにあるか、いまどんな状態か、名義は誰か、ご家族はどうお考えか、といったことを伺います。分からないところは「分からない」で構いません。資料の準備もいりません。
お話を伺ったうえで、いま必要なのが手続きなのか、ご家族での話し合いなのか、しばらく様子を見ることなのかを一緒に整理します。売ることを勧める場ではありません。
まずは、いまの状況をお聞かせください。